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　説話文学は、その時代を代表する理念と思想を明確に表している文学のジャンルといえる。そして、日韓両国の説話を比較するということは、成立当時の両国の状況を最もよく表している資料を通じて、それぞれの独自性を知ることができる機会になる。日韓両国で説話が収録されている代表的な文献としては、日本の『今昔物語集』（以下、『今昔』と略称する）と韓国の『三国遺事』が挙げられる。『今昔』は1120~1150年頃、『三国遺事』は1280年前後に成立し、150年ほど『今昔』が先に成立しているが、両説話集の成立背景には仏教思想が濃厚だったという点が共通的な要素であり、類似性の中に内在されている異質性を比較検討すること...

　説話文学は、その時代を代表する理念と思想を明確に表している文学のジャンルといえる。そして、日韓両国の説話を比較するということは、成立当時の両国の状況を最もよく表している資料を通じて、それぞれの独自性を知ることができる機会になる。日韓両国で説話が収録されている代表的な文献としては、日本の『今昔物語集』（以下、『今昔』と略称する）と韓国の『三国遺事』が挙げられる。『今昔』は1120~1150年頃、『三国遺事』は1280年前後に成立し、150年ほど『今昔』が先に成立しているが、両説話集の成立背景には仏教思想が濃厚だったという点が共通的な要素であり、類似性の中に内在されている異質性を比較検討することで各説話集の背景を把握し、その特徴を究明することができる。本研究では両説話集の比較研究を通じて、各国の仏教と土着信仰がどのような関係の様相を経て統合されるのかを究明する。
　まず、対立の関係の様相は仏教が公認される過程において単なる信仰の間の反発を脱して、政治的な問題にまで台頭する『今昔』の聖徳太子の説話と『三国遺事』のイ・チャドンの説話を分析した。『今昔』では二つの信仰に代表される勢力の間の戦争が行われ、仏教が公認されて復興することになったが、『三国遺事』における仏教の公認は概して順調に行われ、最も大きな反発として扱われるのが殉教として仏教の公認を果たしたことだという対照的な面が確認できる。そして、これを通じて『三国遺事』に比べて、『今昔』での土着信仰がより独立的なアイデンティティを維持して守護しようとする性質を持っているという特徴が分かる。しかし、この対立の様相それ自体が、仏教が公認され勝利するという前提で行われるという点から、土着信仰が真の意味で仏教と対等な敵対者としての戦いを成し遂げることは難しいという事実を含んでいることが明らかである。
　次に、対立から融合に向かう中間段階としての調伏の関係の様相を、両説話集に登場する地主神と龍神の場合を通じて分析した。『三国遺事』には存在しない『今昔』だけの特徴で、地主神が仏教との葛藤により他律的に調伏することと、地主神が仏法を守護する護法神に変貌する現象が確認できる。また、両説話集で地主神と龍神が共に信仰の対象でありながら神的ではない位相の相対的観点を表している。そして、土着信仰の位相が仏教の勢力より低く設定されているため、土着信仰が仏教と対立することは最初から不可能であり、調伏の様相で土着信仰が仏教と衝突せず、仏教的秩序体系の中で土着信仰の要素は多少弱化されるが安定的な地位を得て順応するようになる。
　最後に、土着神が仏教的秩序体系と完全に一つになる融合の関係の様相を、土着神が助力することで表れる融合と神仏習合的な融合の二つに分けて、該当する事例を通じて考察した。それぞれの場合、最初から土着神自身を仏教的秩序体系に属する存在の一つとして受け入れていることと、『今昔』では土着神を菩薩と同一視して融合し、『三国遺事』では既存の土着神が外来から来た仏教の存在に取り換える形で融合することが該当する。これを通じて、『今昔』では土着神が正体の独立性をより確固たるものにして、仏教と同等の地位を保障されようとする関係を結ぶが、『三国遺事』では『今昔』に比べて土着信仰が仏教と従属的かつ垂直的な位階の関係を結んでいることが類推される。
　以上で、本考察を通じて『今昔』と『三国遺事』両説話集から対立と調伏、融合の関係の様相を把握し、それぞれの説話集だけの特徴を把握することができた。そして、土着信仰が仏教的秩序体系の下で統合されているが、『今昔』より『三国遺事』の方で仏教との従属的な垂直的関係がより強調されていることも確認された。また、両説話集ともに、土着神は最初から仏法と対等の立場にいる敵対者だとは言い難い点、それだけでなく土着神は先験的に仏法に協力あるいは奉仕する存在として把握されていた点を類推できる契機となった。

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